理事長挨拶

日本アルコール関連問題学会に対する期待

依存や嗜癖は深刻な健康・社会問題です。わが国が取り組むべき最重要課題の一つといっても過言ではないでしょう。依存問題はその当事者のみならず、周囲の人にも多大な影響をもたらします。2003年に私どもが実施した全国成人に対する実態調査では、アルコール依存症の疑われた者が440万人であるのに対して、他者の飲酒で悪影響を受けた者が3,000万人いると推計されました。アルコール以外にも多くの依存や嗜癖問題があります。ニコチン依存や他の薬物依存は今さら取り上げるまでもないでしょう。2008年の実態調査で、わが国のギャンブル嗜癖の有病率は他の先進諸国の数倍におよぶことも示唆されています。

さて、依存の回復には、専門性をもった多職種の協力が必要です。医療現場では、医師に加えてコメディカルの役割が極めて大切です。社会復帰に際しては、地域や自助グループの支援が欠かせません。当然のことながら、依存問題はその予防が何より重要であることは言うまでもありません。

日本アルコール関連問題の自慢は、予防から治療、社会復帰にいたるすべての専門職種を会員に擁していることです。それは取りも直さず、この学会の潜在能力の高さを示していると思われます。私は、この能力を生かして本学会が以下の四つの分野に貢献いただくことを強く願い、できる限り協力して参ろうと存じています。

予防、治療の向上に貢献する

依存・嗜癖の予防や治療方法はゆっくりですが、着実に進歩しています。たとえば、簡易介入技法、CBTや動機づけ面接の改良、新規治療薬物の開発などがこれにあたります。本学会はこの進歩を加速できる力があります。

多くの依存・嗜癖に取り組む

本学会はその名前からアルコールに特化しているように見えますが、かなり以前から他の依存・嗜癖問題に取り組んでいます。今後、ますます多岐にわたり複雑になっていくこの問題に学会として対応していく必要があります。

社会に貢献する

この問題はその性質上、様々な分野で専門性を必要としています。予防や治療以外でも、学会の貢献に対する期待は大きいと思います。

若手を育成する

米国のアルコール医学会(RSA)は、若手の教育に熱心に取り組んでいます。本学会も次世代を担う若手の教育を従前にもまして推し進めましょう。

申し上げるまでもなく、会員の皆様のご理解とご協力があって、はじめてこれらのことを前進させることができます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

日本アルコール関連問題学会理事長
樋口 進

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